以前、交渉前に準備する4つのことを書き、交渉するときに論理的に考えるポイントを書きました。
今回、読んだ本「新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか」では、論理的なアプローチに加えて大事な5つのポイントについて書いてあります。
優秀な営業マンはこの5つのポイントを心得ていたり、自然と身につけている人がいるのだろうと僕は思います。
新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか
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ロジック以外に大事な5つのこと
人は論理的なことだけでは動かない。
合理的な理由でなくても感情が人の判断を左右することは皆さんご存知でしょう。
その感情は下の5つの核心的な欲求が源となっている。
この5つのポイントを簡単に解説してみます。
1. 価値理解
価値理解は核心的な欲求の1つだ。
誰もが理解され、価値を認められ、聞き入れられることを望んでいる。
価値理解には3つの要素がある
1.相手の考え方を理解する
2.相手の考え、思い、そして行動の中に価値を見出す
3.自分の理解を、言葉や行動を通じて相手に伝える
相手に理解してもらったと思ってもらえることが大事ということです。
僕はこのことについて、大きく納得しました。
2. つながり
話し合いを行う上で相手と自分の関係性が重要なことは皆さんお分かりでしょう。
お互いのつながりを強めれば、協働作業は容易になり生産性も高まります。
そして、つながりの性質について下で説明しています。
つながりの2つの性質
1. 構造的な結びつき:
これは、自分と自分と同じグループに属する他者との結びつきである。
共通のつながりを探したり、新たなつながりを作ったりすることによって、構造的な結びつきを強めることができる。2. 個人的な結びつき:
自分と誰かをつなげる個人的な絆である。
私的な問題について話すことによって、2人の間の隔たりをなくすことができる。
だが、1人で何かをする自由を相手に十分与えることも忘れてはいけない。
つながりの性質の次は、交渉相手とのつながりを強くするにはどうしたらいいんだ?と思うでしょう。
それが下です。
相手との距離を縮める方法
1.電話、コンピューター、あるいは電子メールを使うより、直接本人に会おう
2.自分が大切だと思うことについて話そう
3.相手に近づくために、自分1人で何かをする自由を与えることを考えてみよう
4.連絡を取り続けよう
さらに、結びつきを作りやすくすることもアレンジすると効果的だと思うだろう。
その方法として下の3つを挙げている。
交渉において個人的な結びつきを築きやすくする3つの方法
・私的で非公式な話し合いを設けよう
・周囲が持つ対立のイメージを変えよう
・特定の問題に対処するための小委員会を組織しよう
逆に交渉相手が自分とのつながりを利用して、相手の要求をこちらに飲ませようとすることもあるでしょう。
そのときにどうしたらいいのかも下のように書いてます。
つながりを用いた操作から自分を守る方法
- 提案を理性で確認しよう、直観でも確認しよう
- この意思決定をするに当たって、私はどのように感じているか?(怖いか?嬉しいか?自信があるか? 自分の感情を感じとろう)
- もしノーと言ったら、明日の朝私はどう感じているだろうか?(ほっとしているか?がっかりしているか?イライラしているか? 目を閉じ、自分の本心を確かめよう)
- もしイエスと言ったら、明日の朝私はどう感じているだろうか?(正しい決断だと思っているか?それはなぜか?)
上の内容とさらに詳しいことが本著に書いてありますよ。
3. 自律性
あなたは自分の自由を奪われるととても不快に思うでしょう。
「今すぐこのブログを読むのを辞めて仕事しなさい」と言われたら嫌でしょう。
そのように相手の自由、自律性を尊重することと、自分の自律性を拡大することが重要と書いてある。
・自分の自律性を拡大しよう
・相手の自律性を侵害するのは避けよう
話し合い、交渉において相手の自律性を侵害しないためにも相談することが効果的だ。
相手に相談をしたときメリットを3つ下に書いてある。
決める前に相談をするメリット3つ
自分の行動がだれかの自律性を侵害しているかもしれないということに注意し続けなさい
3つの重要な利点がある。
1.相談された方は意思決定のプロセスに参加していると感じることができる
2.相談を通じて自分も何かえるかもしれない
3.相談しても、拒否権があるということ
4. ステータス
自分も、交渉相手もそれぞれさまざまなステータスを持っている。
会社の社長さんから、お医者さん、または僕みたいなBMXライダー、ブロガーもステータスだ。
そのステータスも交渉で利用することができる。
交渉でのステータスの使い方は下の文章に軽く書いてあります。
だれもが複数の領域で高いステータスを持っているので、1つのステータスをめぐって相手と争う必要はない。
交渉問題に関連があってふさわしい価値があるときはいつでも、相手の高いステータスを評価しよう。
そしてまた、自分の専門知識やこれまでの成果に対して誇りを持とう。
相手に同意を求めるのは、やや勇気がいるかもしれない。
しかし、同じ勇気があれば、自分の存在に満足し、自分が交渉にもたらすものの価値を正しく認めることができるはずである。
本当に自分のステータスを高く評価しているならば、他の人があなたをどう考えているのかなどは気にする必要はない。
一方、相手のステータスを認めても何の損失もない。
そして、相手を適切な敬意を持って遇すれば、相手もあなたを尊敬することになるのだ。
また、交渉で相手にアドバイスを求めることはステータスを下げることにならないことを知ったのも面白い。
人にアドバイスを求めるということは、自分のステータスを下げずに、相手の高いステータスを認める強力な方法だ。
5. 役割
交渉の場では、つねに何か行うべきことがある。
しかも、ほとんどの場合、どうやるかという方法については自分で決めることができる。
だれでも従来の役割に含まれる活動内容を自由に拡げることができる。
だから、自分で役割を決めてしまうこともできるのだ!
役割に含まれる活動内容を自由に決めることができるのである。
何度でも、一時的な役割を自由に選択し、自分にパワーを与え、協働を促進することができるのである。
役割を作り変えるのには努力が必要だ。が、諦めないで挑戦して欲しい。そして何度も挑戦し続けてほしい。
やがて、自分が望むように自分の役割を変えられるようになるだろう。
とかく自分の役割を自分で決めてしまっている場合がある。
しかし、交渉の場合など自分の思っている枠を超えて活躍することができる。
そうすると自分がコントロールできることが広がるのだろう。
今一度自分の役割のバイアスを外して考え直すのも価値あることだろう。
最後に
さまざまな場面で相手の立場に立って考えることが重要だったりします。
このときに考えるべき視点として、新ハーバード流交渉術で紹介している"5つの核心的な欲求"が使えるだろうと思う。
交渉において論理と情緒、考える力と感じる力の両方が大事なんだと改めて認識した。
なんとなく分かっていても、実際に"5つの核心的な欲求"として要素を理解することが今回の大きな学びだ。